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広告屋としての思い出の記 [広告]

いやまだしも私は広告屋でご飯を食べさせて頂いておりますが
ほそぼそと…。しかしミスタードーナツの最近のテレビCМを観ると
つくづく 思い出すのでございますよ。

「15秒の時間内で ラッキーカードの賞品を説明し
 ドーナツのおいしさを表現し 100円セールを告知して
 なんて 目的を2つも3つも伝える事は不可能というか
 そんなテレビCМを誰も認知できませんよ」
「それをクリエィティブの力でなんとか」
「いやいや それは違います。何を訴求するか
 選択し集中すべきは 今何なのかを
 しっかり絞り込むのが クリエィティブという事です」
「だったら 所ジョージさんで目立った方がいいじゃない」

 私は二の句が継げなかった。
だって私も所ジョージのままでいいじゃないかと思っていたからだ。
しかしそれでは 某代理店からアカウントを奪った
私が所属していた小さな代理店の立つ瀬がなくなるのだった。
全く あんな孤独な闘いを強いられた仕事は初めての経験だった。
そして ミスドの方々はあの当時も大阪のお笑い芸人案が
大好きだった。
「えぇぇ そんな芸人使ったら 逆に所ジョージから
 格段の差が一目瞭然で ミスドの価値が落ちます!」
「でも 面白くないと観ないでしょ」
「いや 面白いからミスドに人は行くのではなく
 おいしいからミスドに行くようにしなければ
 ならないんじゃないでしょうか」
♪いいことあるぞミスタードーナツというジングルが
私の頭の中で鳴り響いていたものだ。
なんて偉大なジングルなんだろうと思った。

 なにせ私は下戸だから 仕事の息抜きはミスドだった。
ミスドに行けば ノーマン・ロックウェルのイラストが
壁に掛かっているし ドーナツは勿論のこと
ファーストフードでは最もおいしい珈琲があり
しかもお代わり自由だった。都立大駅辺りに棲んでいた頃なんぞ
わざわざ学芸大駅で途中下車してミスドに寄って
頭の中を駆け巡る広告仕事と当時制作準備に入っていた
劇場映画のあれやこれやを落ち着かせるための
サンクチュアリだったのだ。
つまり 私はミスドファンの一人だったわけだ。
だからこそ 力が入った。しかし私の足場はグラグラしていた。
孤立無援状態の中でストレスで呼吸困難になりそうだった。

深夜、江坂にあるドーナツカレッジの片隅で
煮詰まってしまった珈琲とクラッシクドーナツを頬張りながら
眼下の大阪の街を眺めていた。この街に来るときっついなぁ
さすがは アキンドの街やがな・・・
そう呟いて なんとか3時間は寝れるとすがりつくように
ビジネスホテルのベッドになだれ込む。そんな生活だった。
余り好きな思い出ではない。

そしてその当時、私は コルトレーンの『至上の愛』を帰りの新幹線の中で
(当時はポータブルCDプイヤーだった)聴きながら
東京へ向かうのが常だった。
新横浜で目を覚ますまで 哲学的なジャズが
迷妄の海に溺れた私の意識の混濁を更に攪乱し
深い眠りの海へ引きずり込んでくれた。
それでいて ちゃんと 目が覚める頃私は
目的地ではないが何処かの砂浜に流れ着いた安堵感で
ウッドベースとサックスの音に促され 
重い瞼を開けることができたのだった。
新横浜から品川へ向かう途中の街にその後
自分が引っ越す運命にあるなんぞ予想だにせず 高台を走る列車から
東京の街並みを見下ろしていた。今でも夜その光景を観ると
なぜか哀しい色で私の視界はにじむ感じがする。

とはいえ 大阪の芸人さん好きは相変わらずだが
ドーナツを頬張り この笑顔 今なら100円なんて
テレビCМを観ると 明日はミスドに寄ろうと
つくづく思うのであった。
よかった 広告の目的を1つに絞ると
おまけに おいしさもちゃんと伝えられるんだね・・・

なんかすっごくややっこしい云い方だが
ややっこしぃんは あかんのや


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今 私が 一番おもしろい広告は [広告]

とりあえずというか ありがたいことにと申すべきか

私は 広告クリエーターの端くれですので やはり 広告表現についても書きましょう。

いやはや

ジャパネット高田さんの元気さは 目を瞠りますね。

ドラマの出演者と高田社長がドラマの続きで

広告をいつの間にかしている。昨夜のテレビ朝日のドラマで目撃しました。

ドラマのほうは さして面白くなかったのですけれど いつ高田社長登場のCMがはじまるか

興味津々でついドラマを観てしまいました。

これを 『アンダー・ザ・レーダー広告』と呼ぶべきなのでしょうね。

国分太一氏をフューチャーしたのも スライスオブライフストーリィで 下手なドラマより

きちんとしたカメラアングルで撮影編集をしています。何度みても飽きないですね。

このCMの制作スタッフもかなり乗っています。梅の花のテレビCMより出来がいいですけどね。

さて、

仲畑貴志さんが翻訳された『アンダー・ザ・レーザー広告』と

ディビッド・オグルビーの『売る広告』という本は 私の広告屋としての試金石なのですが

なかなか 成熟した生活者の広告に対する防御網(レーザー)を掻い潜るという戦略には

クライアント各社さんは 乗ってきません。

「そんな回りくどい」と 心配なさいます。

広告らしくない広告をわざわざ 高い製作費と媒体費かけるの?

広告なんて 目立たなきゃ意味ないじゃん・・・

逆転の発想すぎるよ そんなリスキィーなことを言いなさんな と怒られます。

そうですね。たしかに クリエィティブ戦略には書き辛いですな。

しかし 今回のジャパネット高田さんのチャレンジは 素敵ですよ。

チラシとのメディアミックスなんてのは全く目新しくないのですが

ドラマとCMの境目をあそこまで 無くすというのは テレビ朝日と広告代理店の挑戦にも

心から 敬意を表したいと思います。勿論 それを実行させたクライアントたる

ジャパネット高田さんのご英断には 頭が下がります。

私の父親が 御社のインフォマーシャルでつい衝動買いをしておりますが

なるほど 父がそうしてしまうのも仕方ないなと つくづく思いました。

    うぅぅぅぅ や・ら・れ・た=!!!! 

          くやしぃーなぁ パチパチ(心からの大拍手)

 


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ネーミング、運もあれば・・・ [広告]

今 話題の化学物質は 本来こういう
製品として 生活者の役に立つモノだったのですね。
メラミン.jpg
以前 この製品は日本の某社から『激落ち』シリーズの
中核ラインでしたが 契約問題で
いまだ 激落ちシリーズは棚にあるのに
嘗てのメインは 別の会社から発売されて名前を変えたのでしょう。
で・・・『メラミン』。
自信を持って 成分名をまんま名前にしたという
えぇぇ まぁ 最も芸の無い クリエィティブの欠片もない
えてして 声が大きい意志決定者が してしまうものですな。
しかし 運がやっぱり悪すぎるというか
この製品で 食器を洗ったら 水で散々洗い流さないとならんという
悪いイメージは 払拭できないだろうな・・・
中国の悪党は こんなものを粉ミルクに・・・くわばらくわばら

以下は 手前味噌です。自慢話なら読みたくない!と言う方は
読まぬが賢明です。
ブルーレットおくだけ という名前は 去年『カンブリア宮殿』という
小説家の村上龍さんが(司会をしている)経済情報番組で
『おくだけってのは コロンブスの卵ですよ。でもね
コロンブスの卵をしてしまうってことは
奇蹟に近いわけで 理屈がどうの戦略がどうのじゃないです。
神がかってるというかね。小林製薬さん運がいいんだよなぁ』
と仰ってくださいました。

 花王さんが ブルーレットおくだけの競合としてトイレマジックリン
『勝手にキレイ』なるネーミングで対抗してらっしゃいますが
賢明なるかな パッケージの表には決して「おくだけ」のワードを
入れてません。フフフ さすがやのぉ~と思います。
どうしてかというと おくだけで~とコピーを入れたり
テレビCMで連呼するだけで ブルーレットおくだけの広告を
していることになるんですよ。
それを 花王さんは きちんと読んでいるのでしょうね。
しっかりマーケティングをされる会社は 気遣いが細かい。
さて ガッカリしたのは 小林製薬さんの
『消臭シャボン』のトイレクリーナーですね。
ブルーレットおくだけの芳香ラインとして お部屋の消臭剤として
市場をきちんと形成している、
(かくゆうボクも愛用している)『消臭シャボン』の香りを加えることは
まともな製品戦略です。というより 遅いぐらい。
しかし 消臭シャボンラインの製品なのか
ブルーレットおくだけラインの製品なのか
売り出す会社自体が混乱しているのがパッケージに丸見え。
小さく『ブルーレット』のロゴが入っている。
おやおや 肝心要の『おくだけ』が 抜けている。
競合他社が 『おくだけ』のワードを抜かすのは 正しい。
しかし どうして小林製薬さんが それを取るのだろうか?
確かに 今後 トイレタンクには 水落ち口がなくなり
オンタンクタイプクリーナーの市場性はかなり先細りだという
見解が在るのは存じていますが 
それだったら この新製品自体出すことが
愚かしいことですね。徒にラインを増やしただけのことだ。
きちんとした思考をしているとは思えない。
大丈夫ですか?
マーケティングは 目の前の競合に如何に優位に立つかです。
敢えて自陣の優位点を棄てるとは・・・・ね。
案外 小さな小さな穴から決壊を引き起こすものですから。
心配ですよ ワタシャ。
そして 村上龍さんに 申し上げたい。
『おくだけ というのは コロンブスの卵だったかもしれない。
しかし 25歳のボクは おくだけと 名付ける事で
競合他社が テレビCMで おくだけでカンタンきれい
と連呼してくれればくれるほど ブルーレットおくだけが売れることを
ちゃんと読んで クライアントに提案しておりました』と。
なにしろ ボクが勤めていた広告代理店は
『最小頻度で最大の広告効果を上げるクリエイティブ』が
売り物だったのであります。 
といっても その実践結果は
結局 ボクにしか出せなかったのは・・・・
コロンブスの卵を 為しえたボクにおける何がしかの
目に見ない「手」が 降りてきたからとしか
説明のしようがないんですけれども。

しかも 「しっかり洗浄 さわやか芳香」という
コピーが ブルーレットおくだけのパッケージからも無くなっている。
嘗て このコピーを大阪府警が盗んだ。
しかも防犯キャンペーンで。
「しっかり防犯 さわやかサマー」と。
そのコピーを目にするたびに『警官が盗人猛々しい』と
忌々しかった。
広告といえども、断りもなく ちゃっかりパクるのは著作権侵害に
中るでしょうな。今更言っても遅すぎるだろうが。
それほど インパクトの強かったコピーをパッケージや
広告コピーからも外した 戦略的思考とは なんなのだろう?
「成功した戦術は継続すべし」という 戦略は
『孫子』を読んでいれば 別にマーケティングをダイガクで
専攻してなくても知れたことだ。
いや ラグビーを戦略戦術ゲームとして観戦している者には
当然の感覚的思考である。 

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もち肌を証明するのに餅でインカ帝国?! [広告]

yutakamiさんのブログ、 『千里一隅』ならば 
俎上にのせる広告研究材料のテレビCMなどは
画面をきちんと撮影されて お載せになられる。
すいません。 僕には真似できまっしぇえんm(_ _ )m
ぐーたらエイシュンが それでも 俎上にのせさせて頂くのは 
某英国系企業の 洗顔料です。
え~い面倒だ 『ダヴ』です。この会社は
ポストインという非常にお金が掛かる販促をする会社でした。
最近はやめたかもしれないですね。
皆様の郵便ポストにある日 ビニール袋に入った
試供品のシャンプーやらが在った・・・なんてのは
大概 この会社でした。
まぁ 絶対売れまくれるという自社製品への自信ですが
さすがに 利益効率が悪くなってるんで控えているでしょう。
その ダヴが 
『家庭でも再現可能な デモンストレーション』という
広告の考え方に即したおつもりなのでしょう。
おもちに 洗顔料の泡を乗せ、左は新しいダヴ
右は 改良前(他社製品ではなかったと思いますが)
さて20分後には・・・・
左の新しいダヴは もちもちのまま
右は ガビガビ・・・。
たしかに そういう結果が 家庭でも試したら得られるかもしれません。
しかし 上記『家庭でも再現可能な デモンストレーション』という
法律にがんじがらめにされて くるしまぎれで
もち肌ダヴだから おもちで やってみよ! あららやってみたら 
「いいかも!」なんていう舞台裏がついつい 僕には見えてくる・・・。
ただ どうも P&Gの食器洗剤『ジョイ』のお皿に張った水に
一面浮いた油汚れが 指先に付けた洗剤でパッと綺麗に溶けてしまう
という驚きに匹敵するインパクトは 無いんじゃないかなぁ?
実際 もちでためしたらそうなるとしても
使用前 使用後が 一目瞭然、数秒で見せられ、自ずと テレビCMでも
そのままリアルにオンエアできるというのと
テロップ(文字情報を画面に入れる)で~20分後~と入るのとでは
後者は 「どうせ やらせだんべ」 「嘘くさ・・・」
という 感情を持つ確率、比率が高いんじゃないかなぁ?
でも あの会社が事前にテレビCM表現調査をしないで
オンエアするわけがないので 現代の日本女性、ターゲット層には
効果的な表現だったのでしょな・・・・。
素直に もちデモシーンで「うわぁ~ もっちもちじゃん」と感動して
量販店に行って もちもちダヴは 何処?何処?とやってらっしゃるのかもしれない。
ネーミングは ちなみに もちもちダヴじゃないんですよ。
どうか お間違えのないように!

昔から『がまのあぶら売り』なんてのが 日本には在って
浪人が 自分の腕の薄皮をうっすら刀で斬って
ガマの油ってのを塗るとほうら ピッタっと血が止まる!
とやっていた。本当に斬りはしません。斬れない刀に
紅を塗ってるんですけどね それが判っていても このデモシーンは
随分長く効果があったそうです。
実演販売ってのは 何はともあれ劇的であれ!繰り返せ!テンポよくやれ!
という魔術があるそうです。マーフィ岡田さんという実演販売の神様が
そんなこと云ってました。あれは 一種の催眠術らしい。
ところで フーテンの寅、こと車寅次郎も実演販売・・・・あれは違うんですね
あれは 面白テレビCMの元祖で 売り口上で客を笑わせ財布の紐を
緩めるという手法です。ところが 寅さんは縁日とかお祭とかある
出店でしか働けなかった。ガマの油売りは年がら年中
辻辻に立って商売できたらしいです。
お祭や縁日といった時と場所では 笑わせて
財布の紐が緩みやすい。普通の辻で 普段では
笑っただけで 皆通り過ぎるだけ。
だから テレビCMという媒体では本来 ありえないですけれどね。
それでも 面白CMで好感度がアップして売れると思い込む方々は
クライアントにいらっしゃるもので・・・まぁ 対費用効果を考えると
余り 効率はよくないんですがねぇ・・・・。
やはり 劇的なデモシーンを開発した方が テレビCMとしては
効率よく「売る広告」になる と僕は未だに信じています。
ただし 劇的なデモシーンを開発できる製品とそうでない製品がある。
そこが むづかしいところであります。
ちなみに 食品の広告は シズル、おいしそうに見えるように撮影し、
効果音に音楽、そして コピーを総動員するのが まさしくデモシーンです。 
ところがですね・・・例外的な存在ってがあるんですね。
ペヤング『ソース焼きそば』と 『カラムーチョ』といったターゲットを
中高生の男子にポジショニングを徹底した食品のテレビCMでは
「四角くって気が利いてるよなぁ」とか「こんなに辛くてインカ帝国」
なんつー莫迦さ加減、このぬる過ぎるギャグが
ものを売ってしまうのです。食品におけるデモシーンにあたる
シズルなんぞこの2ブランドはどちらも 適当 または 全く無し。
それでも なかなかの市場を持つロングセラーとなる。
やはり 広告戦略は ポジショニングありき なんじゃないかなあ。
お餅に洗顔料だか塗っても ポジショニングとして正しければ
効果の高い表現なんでございましょう。
さて実際の販売実績、広告効果が どうなっているのかは
存じ上げませんけれど。ついつい反応してしまいました。


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赤福~勿体無いは 悪なのだろうか? [広告]

赤福の一件で 相変わらず袋叩きをやめない。
そんな 日本のマスコミ報道に ゲンナリする。
子供たちのいじめがなくならないのは
その体質が根本原因だと 指摘する識者は
おそらく テレビや新聞で発言できないだろう。

だいたい和菓子、とくに餅菓子は 古来 売れ残りは 
もう一度 水餅にして再利用するのである。
当たり前じゃないか!まだ食べられるものを再利用してどこが悪い?
まだ食べられるものを棄てるのが 美徳なのだろうか?
今や 日本人は 飽食と美食で頭が狂っている証拠かもしれない。
感覚が変になっていませんか?
それとも なんでもアメリカ流が 正しいと洗脳されきったのかな。
マクドナルド流が全てグローバルスタンダードとやらで
正義・・・なのですか? それでいいのですか?
古来 この瑞穂の国は 米を大事大切にしてきました。
その精神で あんこだって まだ腐っていないのなら
売れ残りは 新しいあんこと混ぜて練り菓子にする。
食べられるものを棄てるのは 勿体無いからですよ!
それが 「消費者を裏切った」 ことになるのか?
売れ残ったから 棄てる方が 圧倒的な正義であり
はたまた 美徳なのだろうか?
それでは 「勿体無い」という意識は 悪なのでしょうか?
一方で地球環境問題で エコエコと騒いでいるのに???

僕は 今回の赤福の唯一の罪は オーバープロミス・コピーに尽きると思う。
あの「お伊勢様の参道にあるお店の手造りをそのまま」
そう受け取れるコピーには 以前から 首をかしげた。
んなわけないだろう。 味が全然違うじゃないか。
あの店先で 出来立てを食べた時 
「やっぱり お伊勢参りができた ご褒美だなぁ」 と思ったものだ。
それでいいんだ。何も 名古屋駅や新大阪駅で買った
お土産で あのおいしさを堪能できなくたって構わない。
しかるに あんな 愚かしいオーバープロミスを・・・
広告を制作される方々よ そしてクライアント様よ
オーバープロミスだけは やめなさい。
     嘘は ついてもばれるのです。
クライアントは 一のものを 十にも百にも言わせたがる。
しかし それは ご自分を気持ちよくさせているだけ。
麻薬を打つのと同じこと。高い金を払って自分を気持ちよくさせて
挙句の果ては 結局 ご自分を蝕むことになるのですよ!
くれぐれも お気をつけくださいませ。
いくら 命を賭けで開発した商品でも
オーバープロミスを広告制作者に要求してはなりませぬ。
又 オーバープロミスでクライアントをいい気持ちにさせて
手っ取り早く 広告料を稼ぎたいと 広告制作者は思わないことだ。
商品とその愛用者、愛用者になってくださるだろう方々を愛することだ。
愛だよ。 愛からしか本当のクリエイティブ・アイデアは 生まれてこないんだ。
そして本当に素晴らしいクリエイティブアイデアは
順調に愛用者を増やし 結局 クライアントを喜ばせる結果をもたらすのだ。


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サラサーティSALARIEについて [広告]

● この6月テレビ東京系『カンブリア宮殿』にちょっぴり出演したけれど
(ブルーレットおくだけの名付け親として)オンエアで 司会の村上龍さんが
「おくだけってのは 【コロンブスの卵】ですよね。でもそれをしちゃうってのが
やはり 凄いですよ」と 流石 本質をズバリとご指摘くださった。
嬉しかった。龍さん!僕の小説も【コロンブスの卵】になってるかもしれません!(笑)
それはさておき 
昨日 偶然 サラサーティの新製品であるSARARIEのテレビCMを観ました。
小林製薬さんが いよいよ生理用品に進出したのか?と思ったけれど
そうではなかった。 しかし デモシーンは 生理用品である。
確か 僕が担当していた当初は 業界規定で禁じられていたはずであるが
まぁ 十数年経つと規正緩和ってことなのでしょうね。
サラサーティには もともと 「おりもの専用シート」か「パンティーライナー」か
2方向で迷いがありました。前者の方が より小林製薬的、戦略的という判断で
かなり強引に出て 結果オーライでした。それはキープしてあって 
なんだか 戦略的に混乱しているなぁ と感じてしまいました。
さて 昔話として

 U社のT会長が突然、銀座の小さな雑居ビルにあった小さな広告代理店に自ら訪れて
当時のその小さな広告代理店(アーチャー:現・アーチャー新社)丸ごとと
『サラサーティ』という名前を買い取ると仰ってくださった時、
当時のアーチャー社長:矢嶋仁さんは 少し涙ぐみながら その申し出が在った事を
僕に教えてくれました。勿論 矢嶋さんは その申し出をお断りしたのです。
なぜなら アーチャーという小さな広告代理店が 日本の生理用品のパイオニアの一人として
知られるT会長さんにそこまでインパクトを与えられたクリエィティブを成し遂げたという
自信を得たからです。僕も同様でした。そして「矢嶋さん アーチャーを日本初の
クリエィティブエージェンシーにしましょうね」とお互いに心の底から笑い ある意味
凱歌をともにあげたのでした。しかし そのわずか 2年後に 僕はアーチャーを後にしなければ
ならなくなったのは なんと皮肉で哀しい出来事の一つでした。そしてその数年後には
矢嶋さんが 突然亡くなられてしまい 矢嶋さんと袂を分ったシコリを最早取り除く
ことが出来なくなってしまったのは 痛恨の極みです。
3年前 僕は 八王子にある矢嶋さんの墓前で誓いました。
「僕が小説家になれたら 又 伺います。その時は お墓に盛大にお酒をかけますよ」と。
勝手ながら サラサーティSALARIEの問題点・・・。
パッケージデザインの樹木から 一滴 シートにディスチャージし 吸収力保証として
絹のハンカチで押さえホラ サラサラでしょ というデモシーンを観て
おそらく 当初 ネーミングは 沙羅双樹だったのではなかろうか?と思うのです。
但し 沙羅双樹は 平家物語の冒頭に出てきます。
釈尊入滅のおり二本の沙羅の木が 悲しみにくれて枯れた事蹟を引用しさらには
「盛者必滅の理を現す」に繋がるから やめたのかもしれません。
小林製薬会長さんは 仏教にも詳しい方なので。
 問題点を感じてしまったのは この記事冒頭にもある「生理用品」イメージが強いことです。
プライマリーベネフィット強調戦略でしょう。しかし それを訴求しすぎると
業界規定もさることながら やはり 生活者への誤解となり 誤用を招き
強いては 「オーバープロミス」に陥る危険性です。
その保険としてラストカットに
「おりもの専用シート サラサーティ」を使っているのかもしれません。
生活者はそこまで 複雑な事情を察してはくれません。ただ 単に 新しいサラサーティが出た。
ぐらいに受け止めてくれる可能性も高い。しかし しっかりとしたマーケティングを土台とした
クリエィティブとは 「オーバープロミス」に陥る危険性を排除する前提があるのです。

アーチャーの理念として「謙虚さ」とはそういうものでした。心配性なぐらいでちょうどいい。
なぜなら世の中の生活者は 皆 心配性だから トイレタリーグッズを使用するのですから。
広告の創り手も『売らんがな』に走りすぎては 逆に危険な方向にクライアントとブランドを
導いてしまうからです。僕が アーチャーで学んできた広告理念の「謙虚さ」とはそういうものです。
★問題点を挙げたからには 解決法も 僕なりにご提案しておきましょう。
もしも 既に 『デオドランド訴求メイン』のテレビCMをもう1タイプもご用意ならば 
僕の杞憂はなくなります。たとえば 字コンテであらましを。
トップカットが 大切な下着を入れている引き出しで その隣に新サラサーティが置いてある。
そして 新しい画期的なデオドランド説明があってラストは颯爽とした女性のイメージを確立するカット。
『さらに 凛とするあなたにという コピーをショルダーコピーにするぐらいにして。
デオドランド効果というのは あくまで 『単なる心配性の一つを解決して得る小さな自信』であります。
自臭症という病がありますが そこまでいかなくとも 多くの生活者は 過度のストレスで
神経症的に偏りかけています。そのあたりのボヤっとしたウォンツを さりげなく 理解し
さりげなく エンドベネフィットで 小さな心配を払拭し小さな自信をお届けします。
というイメージで新しいサラサーティをパッケージして ブランドとしての確立を目指す・・というものです。
女性のためのブランドです。本音をあからさまに伝えるより(広告表現のあたりが柔らかくても)
静かに 浸透させてゆく手立てが 結局は 最大の効果をもたらすのでは ないでしょうか?
小林製薬らしさも 大切大事ですが それ以上にサラサーティを愛してくださる方々の「らしさ」こそ
もっと大切で大事だと 僕は 思います。広告創りにおける謙虚さでもありましょう。
● さぁ 今現在 僕は 身辺整理をして 落ち着いたらハローワークに通って
日々の糧を得るべく おそらく広告以外の仕事でも何とか見つけて 
コツコツと小説を書くしかない身の上です。
そんな僕が 随分 偉そうに 書いてしまって 
全く 「謙虚さが足らない」と お叱りを受けそうですね。
妄言多謝と 締めくくります。 


インタビューが放送された証拠??? [広告]

今週の月曜日 テレビ東京『カンブリア宮殿』に ブルーレットおくだけ の名付け親になった瞬間の インタビューを受けました。2分ぐらい放送されましたぁ。番組の流れ上 僕のインタビューはカットだなぁと思っていたら このブログにも書いた当時の経緯をチョロリと。サラサーティやツージーQの経緯までは とても番組内で入りきらんだろうなぁ と思っておりました。

是非 まだ現役の広告クリィエーターのはしくれなので どうぞ 広告のお仕事をちょんまげ!

 

 


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ブログに書いた記事で、 テレビ取材 [広告]

取材を受けたのは 『名付け親の証明』という記事です。
ブルーレット「おくだけ」、「サラサーティ」ついでに「ツージーQ」に関して。
番組は TX(テレビ東京)系『カンブリア宮殿』 6月4日(月)
夜10時オンエアです。村上龍氏が司会をしている経済番組ですね。
取材は 受けしましたが 果たして オンエアはどこまでされるかなぁ?
ブログに書いたことは 事実ですが まぁ いろいろ事情もあるらしいので。

 インターネットというメディアは まさに 繋がりですね。
小さな縁が 繋がる。天命庵の『葡萄のおしえ』を思い出します。
偶々 僕のブログを読んでくださっていた関西の広告関係者の方が
テレビ局のディレクター氏とお知り合いだったというつながり具合。
さてさて今度は このブログの記事による小さな縁が繋がって
僕の人生におけるなんらかの一房の葡萄になるんでしょうかね。
それを思うとなかなか ブログというのは 面白いですね。
去年は 東興園のおば様のご子息様からメールを頂きました。
「ちょんまげ・アルザンス」や「テイル・スープ」に繋がるご縁
この先ある・・・かもしれないじゃぁないかと 妄想は膨らむわけで。
ハハハ んな 暢気なことで いいわけは ないのですけどね。


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名付け親の証明~サラサーティの巻 [広告]

今では おりもの専用シートと言ったって 大騒ぎにならない。
しかし 1988年当時は テレビ局の考査でコテンパンな目にあったもんだ。
「豊田市の産業は 織物と教育テレビでも言うじゃないか!」
などという 自棄のヤンパチを怒鳴ったこともある。
ところが 当初 僕は このブランドにノータッチだった。
優秀な女性のマーケッターがいらしたし、女性のコピーライターもいた。
逃げまくった。結局やることになったが
当初 僕は カテゴリー名を「パンティーライナー」にし、
ブランドコンセプトも 『下着の上にもう一枚重ねる。大切な下着への思い遣り』
とし、テレビCMも下着の広告のような 綺麗な広告にするつもりで
ビジュアル・スクゥーイズ調査(絵コンテで 仮にテレビCMを作ってする調査)
まで粘った。購入意向は わずか コンマ数点の差で「おりもの専用シート」
系の『あなた おりもので悩んでいるのは自分だけ?なんて思っていませんか?
実は女性の80パーセントが・・・』という広告にすることが決定した。
広告としての好き嫌いでは パンティーライナー系の方が良かった。
そして商品理解も 前者は おりものを少なくする薬だという誤解が多かった。
まぁ それでも 小林製薬さんとアーチャーの矢嶋さんと清水さんは
購入意向のわずかでも高い方を選択したのであった。
下の画像は サラサーティという名前が 生まれた瞬間である。


この頃には アーチャーにもネーミングウエイが確立しつつあった。
そして それを確立する手続きを 拵えて 僕はこの3年後に アーチャーを後にする。

もう時効だから いいだろう。
実はサラサーティが商標登録された直後
某生理用品メーカーの会長さんが 突然 矢嶋社長を訪ねて来た。
曰く『サラサーティの名前ごとアーチャーを買う!』であった。
まぁ 過去の栄光 自慢話で 鼻白むことでありましょう。m(- -)m
妄言多謝・・・ついでに 『ナイシトール』というネーミング、
アーチャーじゃないとは思うが 僕だったら
『メータボン!ボン!』とやっただろうなぁ メタボリック症候群だしね。
そしてボン!ボン!は 炎に包まれたデザインにしただろうね。
まぁ メタボ音は商標登録困難だったろうけれど。
内脂肪を燃やすのであって 内脂肪を取るのかなぁ・・・
ちょっとオットピン系のネーミングが 多いですなぁ このごろ。
サラサーティも そろそろ二十年近く 市場を形成している。
ブルーレットおくだけとともに 我が今生の数少ない積徳たらん・・・。
ツージーQという座薬タイプの便秘解消薬ってのも僕が名付けたけど
あれは まだ 存在するのかしら・・・??


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名付け親の証明・ブルーレットおくだけの巻 [広告]

身辺整理をしていたら 懐かしい物が出てきた。
26歳の頃、テレコム・ジャパンのCM企画演出部にいながら
パルコで『ビリー★ザ★キッドの新しい夜明け』を企画制作しているのがばれて
銀座に出来たばかりのアーチャーという広告代理店に島流しになっていた。
つまり出向して ほとぼりを冷ませという事だった。
そんな折 小林製薬の青年社長が(現在はCEO様!)
『わぁー大変だぁ アース製薬から セボンちゅうのが出てくる!
サワデーもブルーレットも おしまいじゃぁ』
みたいな大騒ぎがあった。当時 アーチャーでコピーライターということに
なっているのは 出向していた僕だけである。
今は アーチャーもネーミング・ウェイなる手続きを持っているが
当時は まだ在って無きが如き。 僕はその会議に巻き込まれ
以下のような 考え方をペラリと書いて 説明し
何案かあったが すぐさま『ブルーレットおくだけ』と決まった。
拍子抜けするぐらい あっさりと・・・。


後日 当時アーチャーの社長だった 今は亡き矢嶋さんから
『よかったですねぇ あなたは! もしもですよ ブルーレットおくだけがですね
二十数年 市場を造り続けたらですよ あなたは 小林製薬さんの
社員と家族、そしてこのアーチャーの社員と家族を 延べ数万人を食べさせてあげるという
徳を積む栄誉に恵まれるチャンスを得たわけですよ!』

そして 幸い ブルーレットおくだけは 二十数年 カテゴリーにおいてトップブランドであり続けている。
そうか 徳を積むことは 一応 成し遂げておる我が人生なのか・・・・。
と 自己満足しつつ 『この徳は来世で 活きるのかなぁ』と 溜息をつくのであります。


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