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テトラスクロールという美しい書物について [小説]

バックミンスター・フラー博士の絵本。
そう銘打っているが どちらかというと大人の絵本。
絵もフラー博士が描いている。木炭で 80歳の時に。
子供の頃 絵を描くことに夢中になっていたら
彼の母から 
「フラー家の男は 弁護士、医者か牧師にしかならない」
そう言われて道具一式取り上げられて以来の
絵を描く愉しみにフラーは没頭したという。

『宇宙船地球号操縦マニュアル』『クリティカル・パス』と言った
フラー博士の代表作は 理科系でない者は腰が引けるだろう。
独特の数学や物理学が基本知識もあやふやな私など
眩暈を覚える部分もある。
この絵本も のっけから 四面体や、システムの定義が出てきて
文科系は 緊張するだろう。 しかし このぐらいは我慢しよう。
そのうち 物語りは 人類古代史になる。このあたりになると
文科系族も 夢中になるのは容易い。
さらに中矢氏の日月神示系の著作好きなら 驚くことがある。
フラー博士は文明の発祥を西ではなくタイ、東アジアにしているからだ。
しかも人種すら 東アジア人が基本系になっている。アフリカ説をとらないのだ。
そして 東アジアから船を使って他の大陸へ旅する海族と
陸を馬を使って大陸横断をする陸族とに分かれて
人類は 地球での生息域を拡大していく。
これなど 失われた十部族が アッシリアから陸を馬で移動する
出雲族と海を船で移動する日向族という描写にも重なる。
断っておくが フラー博士の人類古代史にそんな日本のことなど
書いてはいない。 ただ妙に似ている。

そしてフェニキュア人が途中から主役になる。この海族こそが
やがて古代イスラエル人にもなるし 交易制度や通貨制度なども
フェニキュア人が作り上げる。そして彼らは 海流に乗って世界中を巡る。
このダイナミックな人類古代史が やがて
現代のややっこしいグローバル化へ捩じれていく根本に
海賊たちと東インド会社を梃子にして科学者である人は説明する。
まるでアカデミズムという権威の重い石に隠された真実を
四面体の小さな梃子を拵えて一挙に軽々と払いのけ
人類の多くが見逃していた真実の歴史、この世のカラクリを
明らかにしている。フラーの口癖である「包括的に」
学ばないと知識を貯めただけのブレイン(頭脳)は 本当は
役に立たないということなのだと 私は納得した。
後に書くけれど 人間にとって大切なのは 知識量でなく
知識を活用する、例えば梃子のような道具立てをして
動かし難い何かを動かしてしまう大胆な試みを企て実行する
思考と感情というメタフィジカル(超物質)つまり心、Mindだと!
それゆえに 大胆な仮説や試論をするマインド(心)を
教育の軸にしなければならないというフラー博士は唱えていた。
彼は もしかするとモンテーニュの『エセー』に通じていたのかと思う。
『エセー』の宗教・信仰観に反駁しようとした
パスカルとデカルトは数学者として成長してしまうのは
モンテーニュの仮説立てというエセイアの世界に二人が巻き込まれたから?
かもしれない。そしてハーバード大学を包括的に学ぶ場として相応しくない
という理由で自主退学して清教徒(≒ブリティッシュイスラエル人)の名家から
放擲されてしまう 我らがフラーも!

☆フラーといえば【シナジー】

部分部分だけを観ていては 予測不可能なシステム全体としての振る舞いは
部分と部分が シナジー、相乗効果してしまうから生じるモノだからである。
それがたとえ 貪欲と残虐性による共生であろうとも 軍産共同体が
各部門のシナジー効果を そもそも軍産共同体というシステム全体として
予測不可能な振る舞いをもたらしてしまうのである。その貪欲と残虐のシステムの
中枢が指揮指導したわけでもないのに 人知を超えた振る舞いを人類に
もたらしてしまうのだ。
軍産共同体は 武器や兵站調達やありとあらゆる部門で技術的に開発した。
追究した。戦争の世紀と名付けられるべき20世紀は その貪欲と残虐のシステムが
執り行った全体として予測不可能な振る舞いとして
【より少ない材料でより大きな成果を上げる】
数々の新素材などの発明品を
戦争が終わっても追究していくことになる。そして結果として
20世紀までなら王侯貴族しか堪能できなかった豊かな生活水準を
20世紀の後半になると人類の52%が 高い生活水準を獲得してしまう。
全体としての予測不可能な振る舞いが そうさせたのだが 
だから戦争しようなどとフラー博士は言う訳も無い!

フラー博士のシナジー効果というキーワードは
何が善で何が悪かが問題なのではなく 『共生して相乗効果を追究すれば
人類は 生き残ることができる存在であることを示している』という
目論見へ導くこと。
上記のスパンの長い科学技術的歴史観を少し最近の例にすると
インターネットはまさに 軍の通信と経理各部門の相乗効果が
全体としての予測不可能な振る舞いをして 我々にもたらされたのは
多くの方が目撃してきたことです。パソコンというのもそういうことになる。

ところで フラー博士は 1960年代に既にスパコンや人工知能が
人類にとって大切な相棒になることを予測してcriticalpathを描いている。
勿論インターネットも当然のことで 各端末から繋がって という
ような書き方もしている。学校教育も各自個性に合わせて各端末を以て
為されるべきだとか 通勤や通学による時間や燃料エネルギーのロスを
軽減するエコロジー観点から 通信とコンピューターの個人使用を
社会生活の基本にする人生(ライフ)を描いている。
全人類の総人口が40億人とされていた時代に である。
もしもアメリカ合衆国が本気で世界の盟主国としてフラー博士のクリティカルパスを
推進していたら 今頃 総人口70億人になどなっていなかったはずだ。
そしてとうに 人類の98%が 20世紀までの王侯貴族以上の高い生活水準を謳歌していただろう。
戦争という盛大な無駄遣いを止めて 多くの人類が栄養において過不足なく
そして生きていく不安を軽減されて 知的な生活を愉しめば
人口爆発など起こす余地などありえないように人類はデザイン(造化)されている。

テトラスクロールから 引用しよう。
● 科学的技術的思考を身に着けた頭脳(ブレイン)とその頭脳を
   大胆不敵に使いこなす心(マインド)が 共生的に相乗効果する必要がある。
※因みに科学的技術的な思考を蓄えた頭脳は コンピューターでもよい。
● 数々の情報が重なり合い統合されていく中で 情報量は指数関数的に成長する。
   このことに気付けば全人類が経済的に成功しお互い協力し合って生きていける。
※クラウドコンピューティングとは このように活用されるべきという預言であろうか?
● 以上の事に人類が目覚めれば 人々は昨日までの競争を忘れ
   この宇宙にあって我々人類が本来 宇宙によってデザイン(造化)された
   本来の機能と役割に気が付き それに心奪われてしまうだろう。
● 生活の不安が無くなれば 人々は安心して自分たちの心(マインド)そのものの
   役割(work)について真っ当に考え、それに身を委ねるにちがいない。なぜなら
  人間とは 宇宙の片隅にいる一問題解決者にすぎないのだ。
● さまざまな試みをシナジー的に企てては 再生を続けるこのシナリオ宇宙≒造化の妙と
   我々人類は共鳴していろいろな問題を解決していくように人間の心(マインド)は 
   デザイン、造化されている。これこそが 人間のマインドの役割、workなのだ。

 この絵本の主人公もこう叫ぶ
 『そうね!わたしたち人間は宇宙の中でデザインされた本来の働きに
    きっと目覚めていくにちがいないわ』

 
☆めるくまーる社さん!どうかこの書物を A4版に縮小し 
 ハードカバーを止めて十代の少年少女たちも鞄に入れて
 持ち歩けるようにしてほしい。
 電子書籍には 今すぐにでも!  

 私がこのブログに掲載した拙い小説が 如何にフラー博士に影響されて
妄想を繰り広げたか お分かりいただけたと思います。私に才能が有れば
もっと楽しく フラー博士のマインドをお伝えできたのにと 思います。

是非 『テトラスクロール』という美しい書物を一人でも多くの方々に読んでいただきたい。
そう願うばかりでございます。


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